ディープリバー

2024年09月13日

2024.9.13 記

 前回だと、単なるガラス板がどうしてフィルターなの?と、意図が伝わりにくかったかもしれません。要は「フィルターを作ろう」と試みて、透明な別段何の解釈も施されていない単なるガラス板だとフィルターにはなりませんよね。物体的に遮断する意味ではそう考えられますが、特に効果が発生していません。なので色々な情報をガラス板に乗せて実験出来るように透明ディスプレイ化させた(を導入した)、という事です。

 配置によって浄化するわけですので、ここで不透明な板を配置して区切ってしまったら写真を撮れませんよ。まあ、それはそれで一つの表現方法かもしれませんね。


 さて、 "インド"という事で、浄化と言えば「ガンジス川」が思いつきます。なので、このガンジス川を基本技法に取り入れました。この「ガンジス川」を利用した撮影・表現技法を「ディープリバー」と呼ぶ事にします。

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(構図1)

 透明ディスプレイを大都市の歓楽街に持ち出し、ディスプレイにガンジス川の風景を映して、そこで被写体を透かし重ねて撮る。

(構図2)

 透明ディスプレイをお墓に持ち出し、ディスプレイに魚達が泳いでいる映像を映して、そこで被写体を透かし重ねて撮る。

 構図1は、女性の背徳性を引き出す歓楽街でガンジス川をかぶせます。構図2の方は、ガンジス川では葬式が行われておりますので、その意味でお墓を場所に設定し、川なのか海なのか、魚が泳いでいる映像をディスプレイ側にします。可愛い感じの魚の絵柄にしてお墓とのギャップを生じさせます(まあフレキシブルに)。2の方はディープリバーの転用でして、人間の「死」が持つ聖性に着目しています。

注)『背徳の海』の展示場をインド以外に設営する場合でも「ディープリバー」は基本技法である事に変わりありません。

 浄化技法であって、取り扱われる写真全てに常時浄化技法が施されている、というわけでは全くありませんよ。